北朝鮮ミサイル乱射問題の影に隠れて、こっそり重大且つ悪質な問題の報道が為されていた。
本庁職員関与の疑いも=年金不適正処理、22万件超す−社保庁
社会保険庁は6日、2005年度分の国民年金保険料の申請免除・納付猶予手続き約327万件を調べた結果、同庁が「不適正」と判断する処理が22万2587件に上ったと公表した。結果は同日開かれた厚生労働省の有識者委員会で了承されたが、同委の委員が独自に行った現地調査で、社保庁本庁職員の関与が疑われるケースが複数あったことが報告された。
(時事通信) - 7月6日23時1分更新
不正処理が24万人に拡大 国民年金、8割が違法
国民年金保険料不正免除問題で、社会保険庁は6日、昨年度分のすべての保険料免除、猶予申請書を調査した結果、不正な処理はこれまでの約20万9000人分から約3万人分増え、約24万人分に上ったことを明らかにした。このうち8割に当たる約19万人分は、加入者の意思確認のない「違法」な処理だった。新たに山梨県での不正が判明し、37都道府県に拡大した。
これまでの調査は、全国の社会保険事務局長らの申告に基づいていたが、今回は社保庁本庁の職員が中心となって申請書類を調査。不正件数の増加は、地方からの申告のずさんさを示したとみることもできそうだ。
(共同通信) - 7月6日22時24分更新
「不正免除」という言葉がしばしば出てくるが、これらの情報だけだと、その肝心の不正の中身がイマイチよーわからんだろうから、その詳細な実態について、『ムーブ!』6月8日放送分を元に解説する(録画しといて良かった『ムーブ』)。
元々、この社会保険庁の不正追及は『ムーブ!』が急先鋒だった。
因みに今回は、一部分だけテキスト化している。
■朝日放送『
ムーブ!』 2006年6月8日
*出演者
堀江・・・ABCアナウンサー・堀江政生氏(
1989年入社)。
上田・・・ABCアナウンサー・上田剛彦氏(
1998年入社)
関根・・・元ABCアナウンサー・関根友実氏。アシスタント。
宮崎・・・書評家・宮崎哲弥氏。
橋下・・・私生活を切り売りする豪快な弁護士・橋下 徹氏。
大谷・・・ジャーナリスト・大谷昭宏氏。元・読売大阪支社「黒田軍団」の一人。

国民年金の『保険料免除・納付猶予申請書』というものがある。
これを記入、提出する際には左図の様に『申請者本人の直筆の署名』か、『捺印』が必要なのであるが、

これを社会保険事務所の職員が本人に成りすまして勝手に偽造していた、というものである。
犯罪として、刑事事件化する可能性も出てきた、とまで指摘している。
こういった申請書の偽造の可能性について、橋本弁護士は

『これ・・・パッと見ると何となく公文書っぽく見えるんですけれども、法律の世界ではこれ私文書なんですよ』

申請の際には本人が自筆で署名するか印鑑が必要になっているが…

『勝手に署名した物が、ポッと何か公になれば、完全な私文書偽造として完全な犯罪となるんですよねぇ。

でも多分そこまではねぇ、社保庁もバカじゃないんでぇ、勝手に其処に署名・押印はせずにその、上の部分だけを元にデータだけでの処理をしてるんじゃないでしょうか?』
と述べていた。
若しそうなると、もう完全な、100%の犯罪である。
何故そんな事をしていたのか?
上田 : 天王寺区にお住まいになっている、岩鶴さん御夫妻なんですが、このご夫婦はですね、共にきちんと年金を納めていました。

で、学生の息子さんが天王寺の社会保険事務所から「不正免除をしました」と、通知が来たんですね。
つまり、「勝手に免除がされていた」という事なんですよねぇ。
当然、免除申請書は記入も提出もしていなかったわけなんですねぇ。
で、岩鶴さんは、今回の事件を受けまして、(2006年5月末に)天王寺の事務所に対して、情報開示を請求しました。
そして届いたのが此方の書類なんですが、

「納付猶予申請書」と言う物なんですけれども、色々な項目があるんですが、一番下のところ、ちょっと此方に拡大してあります御覧下さい。

拡大しますとですね、此処(上田アナが左手人指し指で指し示している所)にぇー、息子さんの名前でですね、自筆でですね、ぇー、の署名がしてあったんですね。
だけれどですねぇ、息子さんも、岩鶴さん夫妻も、此処には署名していないのに、本人が署名したかの様に、署名がしてあると、いう事なんです。
つまり、天王寺事務所の職員が、本人に、成りすまして署名を偽造していた可能性があるという事なんです。

今回の件(=『社会保険庁の年金給付率水増し問題』)は、岩鶴さん御夫妻の告発から発覚。
5月22日の大阪社会保険事務局の謝罪会見では、



「あくまで市民の年金受給権を守るための行為」
「市民の為にやった」と、当時の事務局長は釈明。

岩鶴さん御夫妻の息子さん御自身が行った、個人情報開示請求で、架空の免除申請書が出てきた。

書類の上の方、年金番号や氏名等の情報は、事務所が撃ち込んでいる(これは従来在った手法)。
問題は、下の空欄。


これが岩鶴さんの御夫妻の筆跡と偽造署名の筆跡比較。
全く一致せず。
社会保険事務所が作成した偽造署名入りの免除申請書類。
これを受け取って、「所得調査票」という、重大な個人情報を渡した区役所へ取材に行くと、

免除申請書類に署名の無い状態で、所得調査票を出したか否かについては、
「一件もございません。(天王寺区役所・保険年金課長)」
「考えられない事でございますので。(天王寺区役所・保険年金係長)」

大阪天王寺区役所は、社会保険事務所から回ってきた書類には、全て、”自筆と思われる署名があった”と、断言しました。

岩鶴さん・妻 : 書いたら法に触れるから、やってない、じゃないかと言うて、想像やったんですけど、それ以上でしたね。

岩鶴さん・夫 : 国による、個人情報の、流用やので、これは、その、法律を、自ら作り、自ら破るという、国すらそういう、ね?法に触れる、犯罪集団になっているんじゃないか?という…。
上田 : 先ず免除手続きの流れについてですが、

本来ならば、免除手続き、未納者である本人が、免除申請書を記入して提出する、提出先は、区役所なんですね。
で、その区役所が、所得情報を、「じゃこの方は、こういう所得なので、免除は猶予しましょう」という事になる為の書類を、社会保険事務所に提出をして、社会保険事務所がこの方の未納を、未納者である猶予を審査、決定するというかたちになっているんですが、しかし去年から、この流れが変わりました。

えー、社会保険事務所が未納者本人に、意思確認をする。
で、その「意思確認が取れた」という事で、変わりに申請を区役所で行って、そして区役所が、所得情報を社会保険事務所に出すと。
そして決定されるというかたちになったわけなんです(正確には「こういうやり方も出来る様になった」)。
で、この変更に当たって、去年(2005年)11月に、大阪社会保険事務局が、市区町村に、協力を求める文書を出しているんですが、その内容は、

「国民年金保険料の免除申請書の取り扱いについて(依頼)」
というモノで、
『11月以降、電話等による免除勧奨に於いて、被保険者の承諾を得て作成した申請書を被保険者に代わって社会保険事務職員の責任に於いて、区役所に提出しますので、ご理解をご協力をお願い申し上げます。』
という事なんですが、ま、
「これからは、社会保険事務所の方で、本人からの理解が、ちゃんと得られてるので、代わりに区役所に出します。
だから区役所さんはこれまで通り、ちゃんとあのぉ、(個人所得情報)ちゃんと下さいね、情報を下さいね」
というお願いの、文書があったわけなんですねぇ。
えーしかし、市役所から、所得などの重大情報を貰う為には、本人の意思確認が必ず必要であったわけなんです。
が、

今回わかったのは、社会保険事務所はここで意思確認をしていなかったという事。
もう一つは、もう一つは、申請書に偽造の書名を行っていたという事なんですねぇ。
つまり、今回の件では、『意思確認は無い』、という事になる。

上田 : 直筆署名の偽造。
天王事社会保険事務所は、本当にこの犯罪行為に手を染めたのか?
直撃しました。
Q : これは、、此方が、書かれたもので間違いないと。仰られると?

担当者 : あのぉ〜、、此方が書いたというか、誰が書いたのかという部分なんですけど、この書類があるという事自体は間違いない、という話になっておりますので、はい。
Q : で、書類を偽造されて、で、市民の方の名前を、書かれて、偽造して出されてる訳ですよね。
だからこういう書類が出てくるわけですよね。

担当者 : そらぁもう〜、此方の方が、刑事(罰)に問われるかどうかというのは最終的には判断出来ませんので…。

社会保険事務所を管轄する、大阪社会保険事務局は、
Q : 取材でね、あの天王寺の方で一件出て来たっていう事を、天王寺にあてて(聴取して)はいるんですか?
天王寺でやったの?っていう…

総務課 : 当然あのね、天王寺も含めて、全、あのぉ、事務所ですねぇ…あの、ま、全事務所じゃないですけれども、他の事務所についてもですね、同様のケースが無いか
Q : 『こういう事(=署名偽造)があったか無かったのか』という調査はしていらっしゃるんですか?

総務課 : 今回の分も含めてね、今回あのぉ、庁の方からも、『改めて、全部を見ます』と、いう事ですから。
まそれを踏まえた上で、ないとね、今の時点でですね、どうのこうのというのは申し上げられないですね。

上田 : 先日判った大阪府の不正免除なんですが、社会保険事務所で19ヶ所、51436件あった、わけなんですよねぇ。
事務所関連の市・区役所なんかは、所得情報の提供を、この全て(51436件)に対して行っていたという事になるわけなんですよねぇ。
そこで『ムーブ!』は今回ですね、大阪府内の41の市区町村に対しましてですねぇ、
「じゃぁどういう場合に貴方方は、こういう所得情報の開示を、行っているのか」
と、市役所に聞きました。すると、
「署名若しくは捺印がある申請書が無ければ、所得は開示しません。」
という事なんですね。
逆に言えば、「これが無ければ開示しない」という事になれば、この不正免除、51436件の全てが、偽造書名が行われていた可能性があるという事なんですよねぇ。
関根 : 社会保険庁の調査の内容です。
「実態解明チーム」が発足されました。

本庁職員152人。ぇ、社会保険監察官97人。ぇ、合わせて249名の
方が実態解明チームを作りました。
明日(6月9日)からです。
明日(6月9日)から6月19日の10日間、各都道府県に派遣して、昨年度の免除・猶予申請の、約274万人分を再チェックしてり、職員約26000人の大半に”不正への関与”を問う申告書を提出させたりするそうです。
今回の件は、私文書偽造。橋下弁護士曰く、

「私文書と公文書の違いというのは、結局『其の文書自体を誰が作るべき文書なのか?』という事」
「今回は、猶予申請という事で、何となく役所へ出して役所で作ってる文書に見えますけれども、申請するのは、一私人が、『私の年金について申請して下さい』と、『年金制を猶予して下さい』と、様式自体は、あの、公の役所が作ってたとしても、明らかにこれは「私人が作る文書」として『私文書』となるんですね。」
「公文書偽造罪は、『文書に対する公の信頼を害した』という事になる。
法律の世界では、罪の軽重は懲役刑の長さで決める。
村上ファンドの村上世彰氏の、あの検察が許さん許さん言ってたインサイダー取引は、『証券市場に携ってる人間だけを裏切った』…という事になるが、私文書の『文書』っていうのは、『日本全国民の文書に対する信頼を裏切った』たという事になるので、遥かにインサイダーより重い罪となる。」
「この文書は社会保険庁は廃棄に掛りますよ。
どうやってこれ隠そうか躍起になってるはず。
証拠の保全手続きしなければ、本当に捜査機関が動かなければ、これ全て廃棄された後、立件出来ないなんて事になればとんでもない。」
「今までも領収書や裏金の問題にしても、『文書が無い文書が無い』と必ず言ってくる。
警察・検察は動かないといけない。
この件は国民全てが被害者なので、誰が告発(事実を知ってる人なら誰でも出来る)しても構わない。
検察が自主的に動いても構わない。」
「『法令遵守』って事を謳ってるんであれば、これ警察ホントに動かないとね、もう、これ、一般の国民が何か刑法違反した時にね、『オマエは何やってんだ』って言えなくなりますからね。」
宮崎哲弥氏は、「私文書偽造は共謀罪に当たる重大犯罪なんだよ!!(共謀罪は、懲役四年以上の犯罪に適用する為)。」
「共謀罪が成立していれば、これは社会保険庁自体が『犯罪目的集団』として捉えられ、『共謀罪に当たる』として、書いた人だけの責任で無くて、上から下まで適用されている」と指摘。
「アレだけの動かぬ証拠を見せられて『何も答えられない』というならば、個人的には公務員辞めて欲しい。
公務員というのは法令解釈に関して、非常に厳格に知識・知見を持っていると私達は考える。
それは当然である。
しかしそれが犯罪を犯していた。
私文書偽造をやっていたなんていう、一般人がやるよりも、刑法は平等だけれども、これは本来は、『意識的に”重い”』という風に考えなきゃいけないと思う。」とも発言。
今回の、社会保険庁による年金不正免除申請問題の要点を並べると、
■ 社会保険庁による不正免除処理は37都道府県で約24万人分。つまり全国規模。
このうち8割に当たる約19万人分が、加入者の意思確認のない「違法」な処理だった。
■ それを、公務員が、組織レベルで私文書偽造という犯罪に携っていた。
■ 「公務執行の為だから情報提供せよ」という事で所得調査票という、大変重要な個人情報を受け取っていたが、偽造に基づくもので、職権濫用。
其処から導き出される結論としては、
■ 日本全国民の文書に対する信頼を裏切った(橋下弁護士・談)。
私文書偽造は共謀罪に当たる重大犯罪(宮崎哲弥氏・談)。
有印公文書偽造に当たる可能性もあるらしい。
■ 不正手段に基づいて「所得調査票」という、大変重要な個人情報を得ていた為、個人情報保護法違反の可能性もある。
■ 組織ぐるみで法令違反を犯した事で、国家家国民の内にある、省庁及び勤務する公務員全体に対しての信頼、「法令解釈に関して、非常に厳格に知識・知見を持っている」との認識を著しく毀損。
もう、社会保険庁は解体・再編成か、全員クビでいいでしょ。
今のままでは全然”社会保険”になってない。自浄作用も無い事は明らかである。
解体・再編成で、真に国民にとって『社会保険』となりうる組織に変貌でも遂げるんならいいが、その見込みも無いなら本当に全員クビにすべき。それが彼等の為にも、また我々自身の為だ。
実際、先月の時点でココまで言われているのだ。
厚労相、「法律守る意識弱すぎる」 未納記録抹消問題
2006年06月16日11時31分
川崎厚生労働相は16日、閣議後の記者会見で、大阪社会保険事務局元職員の妻の国民年金保険料未納記録を奈良社保事務局が違法に抹消して追納を認めていた問題について、「法令順守という公務員にとって当たり前のことが守られていない。この組織においては法律を守るという意識が弱すぎる。組織全体に起因する問題だと思う」と批判した。
そのうえで「昨年官房長官のもとでまとめられた(社会保険庁の)解体的出直しという考え方は正しかった」として、改革の必要性を改めて強調。今国会で継続審議となった社会保険庁改革法案について「次の国会での審議時に与野党から修正要求が出てくれば対応していく」と語り、さらに踏み込んだ改革を行う可能性を示した。
これに関連して、村瀬清司社会保険庁長官は同日午前の衆院厚生労働委員会で、未納記録の違法抹消にかかわった職員について「極めて遺憾な行為だ。当然処分はする」と、厳しい姿勢で臨む考えを示した。
朝日新聞
厚労相も、『法律を守るという意識が弱すぎる』と感じてられるのなら、「解体的出直し」じゃなく「解体再編成」という方針を採るべきだ。
現行政府も、郵政事業の様な、全体的には黒字だったものを無闇に民営化する暇と労力があったら、こういう全く役に立ってない省庁の改革こそ血道あげて断行すべきだろう。
このまま社会保険庁──真に改革すべきを対象──を放置していたら、それこそ”改革偽装”の謗りは免れ得まい。
いやもう、既にそう評価されているか。
職員は職員でこんな事してるし・・・まぁ一部だけど(笑)。
休日に「赤旗」配布、社保庁職員に有罪判決…東京地裁
東京都内のマンションなどで日本共産党の機関紙などを配ったとして、国家公務員法違反(政治活動の禁止)の罪に問われた社会保険庁職員、堀越明男被告(52)の判決が29日、東京地裁であった。
毛利晴光裁判長は「公務員の政治的中立性を著しく損なう行為だ」と述べ、罰金10万円、執行猶予2年(求刑・罰金10万円)の有罪判決を言い渡した。堀越被告側は控訴する方針。
国家公務員が政治活動をしたことを理由に同法違反の罪に問われたのは37年ぶり。堀越被告側は、公務員の政治活動の禁止は違憲と主張したが、判決は、1974年の最高裁判例を踏襲し、「公務員の政治的行為の禁止は、行政の中立性と国民の信頼を確保するために必要」と述べ、堀越被告の主張を退けた。
判決によると、堀越被告は2003年11月の衆院選直前に、都内のマンションなど計126世帯の郵便受けに、同党機関紙「しんぶん赤旗」などを配布した。
弁護側は、機関紙の配布が休日で、配布場所も職場と離れていたことから、「職務とは全く関係がなく、処罰するほどの違法性はない」などと主張したが、判決は「機関紙の配布は政治的偏向の強い行為で、放任した場合、公務員全体に政治的行為を許すことにつながりかねない」と述べた。
(2006年6月29日22時34分 読売新聞)