日経新聞が、(中略)たが、今回はその日経がどうやってあのメモを入手したかについて得た情報を紹介する。
■朝日放送『
ムーブ!』 2006年7月24日
*出演者
堀江・・・ABCアナウンサー・堀江政生氏(
1989年入社)。
上田・・・ABCアナウンサー・上田剛彦氏(
1998年入社)
関根・・・元ABCアナウンサー・関根友実氏。アシスタント。
宮崎・・・書評家・宮崎哲弥氏。
重村・・・北朝鮮の専門家・重村智計氏。
勝谷・・・元・週刊文春記者の勝谷誠彦氏。レッサーパンダに似ている。

上田 : 本日発売『AERA』7月31日号です。

それでも、靖国へ行く。天皇vs小泉劇場
昭和天皇は、A級戦犯合祀に不快感を示され、以来参拝を取り止めたという、宮内庁元長官の富田さんのメモ。
今月の二十日、日経新聞の大スクープとして大々的に報じられましたが、実は日経新聞は、このメモを、去年のうちに入手していたんだというんです。
富田メモの入手から、報道に至るまでの裏側を、AERAが報じています。

1978年から宮内庁長官を十年間務めた故・富田朝彦さん。
昭和天皇は、『富田、富田』と呼んで可愛がっていたというんです。
二人は、仲良く、戦時中の事や、日々のニュースまで、時には、2時間以上語る事もあったんだそうです。
皇室担当としてその事を知っていた、朝日新聞の、清水、ぁ論説員は、

『富田さんの生前、彼の自宅を訪ねた時、「長官当時、天皇との会話を記録していなかったんですか?」と聞きますと、富田さんは「あるよ」と答え、「見せてほしい」というと、僕が死んだら一緒に入れて、棺桶に入れてもらうつもりだ」と、断った』というんですねぇ。
これが、今回大ニュースとなったそうなんです。

『富田メモ』です。
富田さんが三年前に亡くなった後、自宅二階寝室の奥、ベッドで塞がれた戸棚の中に、40冊から50冊の日記やメモが、残されていたのを奥さんが、見つけたというんですねぇ。
去年の、秋頃の事です。

日経新聞の記者が、久しぶりに富田さんの自宅を訪れました。
懐かしさも手伝って、奥さんは、日記の現物と、彼女も読んだ事の無い、輪ゴムで纏められた、メモを手渡したというんです。
このメモの中に、昭和天皇の発言があったというんですねぇ。

ただ、資料を読み込んでいたとしても、去年の秋にメモを入手してから、報道までに、非常に時間が掛っています。
堀江 : そうですねぇ。
上田 : 何のタイミングを見てきたんでしょうか。
実は、メモが報道された今月の20日、

『美しい国へ』という、一冊の本が出版されました。
著者は、安倍晋三、官房長官です。
堀江 : 先程紹介した通りですねぇ。
上田 : はぃ。
この政権構想とも言える著作の中で、安倍さんは、小泉総理の靖国参拝に批判的な、中国や韓国の姿勢を、批判しました。
『ムーブ!』コメンテーターの宮崎哲弥さんは、こう語ります。

『ポスト小泉の最有力者が、本を出版する当日に、今後のアジアとの関係を心配する経済界を代表して、日経新聞がスクープをぶつけた可能性がある。
安倍さんの靖国肯定論を、牽制する意図があったのか』と。
メモが報じられた日のお昼です。

東京大手町の経団連本部に、加盟企業の幹部、凡そ20人が集まりました。
堀江 : はぃ。
上田 : 有力財界人はこう言います。
『退陣を控えている小泉さんが、靖国に、行こうが、行くまいが、事態は変わらない。寧ろ大事なのは、次の総理の言動・行動だ。』と。
別の財界の有力者は、こう語ります。

『次の総理が誰だとしてもこれで強引に参拝するのは難しくなっただろう。』というんですねぇ。
が一方で、安倍さんに近い自民党の若手議員は、
『メモが出てきた事によって、

かえって総理が参拝する大義名分が立った』と見ているんです。
こちらは自民党の若手議員です。
『天皇発言で参拝を止めたら、それこそ「天皇の政治利用」に成りかねない。小泉さんは、意地でも今年の八月十五日、終戦記念日に靖国へ行く。』
この理屈は、

ポスト小泉にも当てはめる事が出来るんです。
経済界の安堵感とは裏腹に、次期総理の靖国参拝を可能にする、皮肉な側面もあるというんです。
東京裁判史観を否定する、漫画家の小林よしのりさんはこう語ります。

『「陛下がそう言っておられるから、その御心に平伏せ」では、まるで、戦前回帰で一番危険な思想ではないか。
もし、今後の世論調査で、靖国参拝に慎重な意見が高まったとしたら、「日本人は、天皇が大好きな右翼的な国民だ」と言うまでだな』と仰ってますが。
堀江 : う〜ん
宮崎さん、どちらにしても、この〜、メモ〜が、出てきたというのは、何か世論を二分しそうですねぇ。
宮崎 : 非常に重要な意味があってねぇ、これ、今紹介されなかったんですけれども、AERAのこの記事の中には、とても重要な事が書かれている。
省略された部分っていうのは、去年の秋に手に入れた。そして少なくとも一ヶ月辺り前から、私は、ぁ〜、こ、現代史や、その他の専門家に、これの真贋をですねぇ、確かめて、全文を確かめてもらってる、事を、聞いています。
ですからぁ、ぁそういう意味ではぁ、これが、この、富田、氏の、メモであるというのはほぼ間違いない。
問題はこれが本当に、本当に天皇陛下、昭和天皇陛下の意向だったかっていうのは、まだ議論の余地は在るんですけれども、ここでね、『日記が50冊ある』と。まだ出てきてませんね、50冊。
それもCD-ROMにしてね、棺桶に入れたというあの、今紹介されなかったけどこの記事には書いてるわけですよねぇ。
という事は「翻刻(=写本や刊本を、そのままの内容で、新たに木版または活版で刊行すること。翻印。)」っていいますけどもぉ、もう活字化されてるわけですよ。
堀江 : はぃ。
宮崎 : 内容が。
堀江 : なるほど。
宮崎 : その内容は、恐らくは、此処は、此処から先は想像ですけれども、メモの内容が、間違いなく昭和天皇の意向であったと、このいう事が、証明する様な、内容が、日記の方に、出ている可能性がある。
この日記は何れ翻刻されてますから、表に出てきますね。
堀江 : 勝谷さん、
宮崎 : だからまだまだこれから先があるという事です。
堀江 : えぇ。あの、メモをどういう風に御覧になっていられますか?
勝谷 : 本物でしょうね。
あのぉ、また、最近の軽薄な右翼ごっこをしている様な人達が、偽物だと信じたいのかもしれないけれど、言いたっていますけれども、その、僕が書いた文春に居られた、あの半藤さんとかですね、ホントにもう昭和史の権威の方々が「驚いた」という、
宮崎 : 秦郁彦さんとかね。
勝谷 : じし、自信を持って、今回コメントしてますね色んな新聞に。
それは多分、色んな本物だと僕は思いますけれども、
堀江 : はぃ。
勝谷 : じゃぁ問題は我々これ、どう受け止めるかであって、やっぱこれはねぇ、2.26事件の時、それから終戦の御聖断に次ぐねぇ、第三の御聖断だ、っつってんですよ。
つまり、日本人が思考停止になった時に、天皇、天皇っていうのは、そ、其処にね、ば、バランサーとして場を作るんですね論争の。
だ、、だから、「どうするのか?」っていうのは我々、我々自身が決めるんで、中国や韓国に言われて、
堀江 : はぃ。
勝谷 : 合祀にしても分祀にしても、それからその裁判史観にしても、言われて右往左往するんじゃなくて、お前達自分の頭で考えろと、いう切欠を、昭和天皇は最後の御遺産として、示してくださったのではないのかと。
宮崎 : 一言だけ。
あの、仰る通りだと思います。
これ政治、皆関心持ってるでしょ?
で、これ実は一番これ重く受け止めてるのは政治じゃないです。
堀江 : 何処でしょう?
宮崎 : 靖国神社自身です。
勝谷 : そうです。
堀江 : 宗教界…。
宮崎 : これはもぉの凄い重いボールを、靖国神社には放られたわけですよ。
堀江 : はぃ。
宮崎 : これを靖国神社がどういう風に受け止めて投げ返すかというのは、恐らくはこの、一年、或いは二年ぐらいの、靖国神社最大の課題になっていくと思いますねぇ。
堀江 : 重村先生はどうなっていくとお考えですか?
重村 : これ実はあのねぇ、う、ウチのカミさんの、爺さんがですねぇ、御前会議出てるんですよ(笑)。
スタジオ : おお〜〜…!
重村 : あのぉ、え、うん。
で、最後のあのしょうじ、あの最後の印を押す時の。
その時にもぅ、天皇はねぇ、もぅ「戦争は嫌だ」と。
一生懸命「嫌だ」と言うんだけどねぇ、もぅ東条が聞かない。
それで最後判子押す時は両手を、握り締めて、手を動かしたくない。
で、最後は皆で、ある時皆で、寄って集って、押させたの。
…って言って爺さんは何かさめざめと泣いたそうですけどねぇ。
そのぉ、『悪い事した』と。
勝谷 : その時の軍部の状況はどうだったかと言いますとねぇ、この終戦のね、御言葉をね、あれを録音したをあれを巡ってですね、中でクーデターのこたあって奪い合いまでやってんですよ。
堀江 : はぃ。
勝谷 : そういう事を考えた時に、その、『戦争を遂行したい勢力』と、昭和天皇との力関係はどうだったかという事はね、大きな目で見れば、この御心は、御言葉は、全体の中に填るという事は、
宮崎 : ひょっとするとね、日記が全部公開されたとすると、其処の部分が明らかになるかもしれないですね。
勝谷 : そう。
堀江 : でもまたそれを政治利用にするかしないのか、色々我々日本人が考えないといけない。
勝谷 : 例えばこれで文春でやった時も『A級戦犯だから』という事は、我々それ昭和天皇に聞かなくても良い訳でしょ。
宮崎 : そうです。
勝谷 : 「A級戦犯を分祀するわけじゃない。日本人が、かのさ戦争の、責任者であると。ですから、靖国と一緒に、XX出来ない」という論に、日本人は持って行くべきなんですよ。
日経新聞が何時手に入れてたかが気になっていたところでこの話題だが、しかし去年の秋頃に入手ねぇ。
という事は、宮崎氏が指摘するところの
『ポスト小泉の最有力者が、本を出版する当日に、今後のアジアとの関係を心配する経済界を代表して、日経新聞がスクープをぶつけた可能性がある。
安倍さんの靖国肯定論を、牽制する意図があったのか?』
これは的を得ているとしか思えない(笑)。
そういう意味では、どっちにしろ日経新聞は、金儲けと引き換えに昭和天皇の御言葉を政治利用した極めて不敬な新聞社、という謗りを免れ得ない事になる(笑)。
後、宮崎氏は『一番これ重く受け止めてるのは靖国神社自身』と指摘していたが、前回、何故靖国神社が所謂A級戦犯分祀に踏み切ったかには触れたので、これを知っておくと後々靖国神社がどういう行動に出るかは読めてくると思われる。
■ 前回=
『昭和天皇の御意志』と所謂『A級戦犯』合祀 其の弐 そもそも神道でいうところの『分祀』は、『分け与える』意味であるから、つまりパソコンでいうところの『コピー&ペースト』であって、『カット&ペースト』ではないから、本来的且つ根本的に分祀は無理難題。
まぁ、今の靖国神社にも滔々と松平前宮司の精神が受け継がれているならば、所謂A級戦犯の、分祀には応じないだろう。
ただ『ムーブ!』で放映された内容の中でも最も重要な点は、
■ 日経新聞は少なくとも一ヶ月辺り前から、現代史やその他の専門家にメモの真贋を全文の確認をしてもらってるおり、これが富田氏により書かれたメモであるというのはほぼ間違いない事。
■ しかし問題は、これが本当に、本当に昭和天皇の御意向だったかっていうのは、まだ議論の余地は在る。
■ 富田氏の葬儀の際、CD-ROMにして棺桶に入れているので、翻刻が存在する。書籍に早々に出来そう。
という、上記の三つだろう。
つまり、『まだハッキリと昭和天皇の御意向であるかどうかが確認されていない』───という事がはからずも明かされたのだ。
そんなわけで、メモの真贋はともかく、その内容の分析には、まだまだ決着は付きそうにない。
非常に繊細な問題でもあるので、しばらくは、いたずらに騒がず今後の進展を見守るのが一番いいだろう。
まぁ、今回のメモが、本当に昭和天皇の御言葉であったとしても、勝谷氏が述べるところの
『合祀にしても分祀にしても、それからその裁判史観にしても、言われて右往左往するんじゃなくて、お前達自分の頭で考えろと、いう切欠を、昭和天皇は最後の御遺産として、示してくださったのではないのかと。』
という考え方でいればいいのだ。
ところで勝谷氏のいう『最近の軽薄な右翼ごっこをしている様な人達』って一体誰の事だろうか?気になるなぁ(笑)。
【2006.07.27 追記】
『
日経とAERA ─どちらが正しいのか─』に続く。
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『昭和天皇の御意志』と所謂『A級戦犯』合祀 其の弐■
『昭和天皇の御意志』と所謂『A級戦犯』合祀 其の参■
『昭和天皇の御意志』と所謂『A級戦犯』合祀 其の肆 ■
『昭和天皇の御意志』と所謂『A級戦犯』合祀 其の伍