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2009-01-07

『社会責任論者』は素晴らしいと思っていたら、単に無責任なだけだった件

 これまで、支援団体や支援者を直接あーだこーだ言うのは敢えて避けてきた(心算)。
 極力、現状の行為にのみ的を絞ってきた(心算)。

 正直なところ、真心をもって支援している人もいるだろう、というのが念頭にあったし、案外そういうのを信じたい自分もいるわけで。 

 が、もはや容赦無し。
 流石にこれを知ると心境が変わる。


■ 村長の「窮状」

 年越し派遣村は、下記の人が村長を務めている。

「年越し派遣村」〜「派遣切り」「解雇」「契約更新拒絶」など…被害者の労働相談、住居相談、生活相談の窓口を開設します

(省略)

今回、入村者の当面の食住は確保されましたが、問題の本質的な解決は何一つ行われていません。
こういう事態をもたらした派遣法の抜本的改正、困窮したひとびとが駆け込めるシェルターの整備などがこれからも求められています。

(省略)

村長 湯浅誠(NPO法人自立生活サポートセンターもやい事務局長)

(省略)

日比谷で年末年始を生き抜く。 - 年越し派遣村


 この「NPO法人もやい」ってのは、テレビか何かでお目にした人も少なくないと思う。現に私もちらっとテレビで見聞きした覚えがある。

 して、この「もやい」だが、実は現在危機的状況にあるらしい。

支援企業破たん、窮地に 困窮者入居保証のNPO


 今年相次いだ不動産会社の破たんが、思わぬところへ影を落とした。九月、米サブプライム住宅ローン問題などの影響で東証マザーズ上場の「リプラス」が東京地裁に破産を申し立てると、生活困窮者を支援する特定非営利活動法人(NPO法人)「自立生活サポートセンター・もやい」(東京)は運営費の約四割を失い、窮地に陥った

 「ボランティア活動は寄付に頼らざるを得ない事情があり、ギリギリの線で運営している」。湯浅誠ゆあさ・まこと事務局長は、スポンサーを失った“打撃”を率直に認める。

 「今ネットカフェ。仕事も金もない。明日からホームレスになるしかない」「家賃滞納で立ち退きを勧告されている」。路上生活者やワーキングプア(働く貧困層)、家庭内暴力で自宅を飛び出した母子などが生活苦から抜け出す“頼みの綱”が、もやいだ。

 電話相談と、アパートなどを借りたい人に連帯保証人を提供する独自の入居支援活動が柱だ。

 「住まいがないと生活にコストがかかりすぎて貧困から抜け出せない。なのに、それぞれ事情があって保証人がおらず、部屋を借りられない。受け皿として、もやいの活動は必要」と湯浅さん。

 二〇〇一年に発足したが、当初は知名度もなかった。「もやい、じゃあ保証人になれない」。不動産業者に冷たく言われた。湯浅さんと代表理事の稲葉剛いなば・つよしさんが個人的に保証人になることも多かった。

 飛躍は〇六年四月。リプラスがCSR(企業の社会的貢献)として、協力を申し出た。運営費として年間約千三百万円を寄付。さらに、同社はもやいが紹介した約三百五十世帯の家賃六カ月分を保証した

 このほか、もやいや湯浅事務局長らが保証人となったケースも含め計約千三百五十世帯がアパートなどに入居してきた。

 不況で相談が増加している時期のリプラス破たん。緊急カンパで当面の運営資金は確保したものの、新たなスポンサーは見つかっておらず、運営方法の見直しを迫られている。

中国新聞 2008/11/03


 さて、これだけだと、善意のNPO法人に寄付してくれる様な善良な企業が、不運にも布教に巻き込まれて倒産した、という印象くらいしか受けない。

 が。

 以下を読むと、この善意の寄付には裏がある事が解る。

【倒産】リプラスが破産、負債総額325億7000万円


 リプラスは9月24日、東京地方裁判所に破産手続きの開始を申し立て、手続き開始が決定した。負債総額は約325億7000万円だ。

 リプラスは2002年の設立以来、賃貸住宅の滞納家賃を保証するレントゴー事業や不動産ファンドのアセットマネジメント(AM)事業などを手がけてきた。2006年には中国への不動産投資アレンジを開始し、2007年末時点で同社の子会社がAMを手がける資産は3820億円の規模に達していた。

 今年に入って不動産市況が悪化したことで、リプラスがファンドから受け取るフィー収入は大幅に減少した。レントゴー事業においては、将来的に発生する債権を証券化することで資金を調達して設備投資を進めてきたものの、証券化市場の混乱でこの前提が崩れた。資金調達が困難になる一方で、借入金の返済に追われるようになり、今年2月以降は恒常的に運転資金が不足する状況となっていた。

 6月以降は、レントゴー事業の顧客であるマンション管理会社への送金が遅延する事態も発生し、資金繰りが一層、悪化した。9月には運転資金を確保できなくなり、事業継続を断念し、破産を選択するに至った

 リプラスの破産によって、レントゴー事業の顧客のオーナーや管理会社にとっては今後、滞納家賃の回収不能リスクが高まる。レントゴー事業を前提にして、スキームを組成した不動産ファンドへの影響も懸念される。破産管財人の山川萬次郎弁護士は、できるだけ早い時期にレントゴー事業(賃貸保証事業)を継承するスポンサーを選定して、不安定な状態を解消するように努める考えを明らかにしている。

日経不動産マーケット情報(ケンプラッツ)2008/09/24


 ここで読んで直ぐ解るのは、


1.リプラスはいわゆる「金融業者」

2.主な事業は不動産ファンドの管理代行業務と賃貸住宅の滞納家賃を保証するレントゴー事業

 問題なのはこのレントゴー事業というやつで、「赤の他人の家賃の保証なんぞでどうやって儲けるのだ?」という点だろう。

 そこで出てくるのが「将来的に発生する債権を証券化する」手法である。

 これは何だろうと思っていたが、ああ、アレか。
 世界的不況をもたらした原因と言われる「サブプライムローン」みたいなもんじゃあないですか。


■ 新・貧困ビジネス

 担保無くして債権無し。
 抵当権無くして債権無し。
 債務無くして債権無し。

 これはよく民法の債権の性質について学ぶ際に言われる文句で、債権と抵当権や、債務の『附従性』を端的に示している。

 附従性とは、まぁ付加一体的なもの、とでも覚えておけばいい。
 つまり、債権は、それを「確実に保証する何か」が無ければ成り立たない、という事だ。

 実際、サブプライムローン、その最大の問題点は「担保信用保証」であったが、要は「借りた金を満足に返せない様な経済力しか持たない人」に金渡したり、その元が戻ってくるかどうかも判らない「金渡した権利(債権)」を投資家に商品として売ったわけである。
 そりゃあ、どんなに屁理屈(金融工学)こねても、基が”ゼロ”、つまり債務や担保が「借りた金も満足に返せない様な経済力しか持たない人」に依って支えられたものである事が知られれば、途端に崩壊するのは自明の理であったと言える。


 さて、リプラスに話を戻すと、リプラスの「レントゴー事業」の顧客とは、一体どんな人たちか。
 そして、どうやってその顧客を集めているのか。

 そこで出てくるのがCSR(企業の社会的貢献)である。
 リブラスは、如何にしてレントゴー事業で稼ごうとしたか。


1.「もやい」の様な、貧困層の救済を事業とするNPO法人に接近する。
 もやいの場合は2006年4月に既に関係を持っている。

2.協力の証(設備投資)として、運営費を寄付。

3.その代償(対価)として、そのNPO法人が受け持つ世帯の保証債務を引き受ける。

4.そして、その債務を元にした債権(要はサブプライムローンの亜種)を、金融商品として売ろうとしていた。

 といったところか。
 つまり、善意の協力者・リプラスの正体は、いわゆる貧困層を食い物にした、とんでもない悪徳・詐欺的な金融屋だったというわけだ。


■ 派遣村への道

 さて、村長。

 確かに彼を支援したリプラスは悪徳な金融屋だった様だが、それが即ち彼が金儲けに走った、という事にはならない。
 そんな証拠は無いし、むしろ余計な負担が増えたであろうから、そこは同情してもいいだろう。

 とはいえ、中国新聞の記事にもあったように「緊急カンパで当面の運営資金は確保したものの、新たなスポンサーは見つかっておらず、運営方法の見直しを迫られている」状況である。

 普通、誰もが資金繰りの為に、あちこち駆け回らなきゃならないんじゃないの?派遣村なんかやってらんないんじゃないの?と思うだろう。

 しかしそこは常日頃「社会責任」を人に説く村長、並みの発想を遥かに凌駕する奇策でもって解決しようと考えた。

 それが例の要望書である。

要 望 書

厚生労働大臣 舛添要一殿

2009年1月3日
派遣村実行委員会
村長 湯浅誠
事務局 全国ユニオン
臨時携帯番号 090-3499-2153

(省略)

1 厚生労働省の責任において、1月5日以降の村民希望者全員の衣食住を確保すること。その保障なく、5日に退去させないこと

2 村民の多くが、居所のみならず、仕事・所持金を失った貧困状態にある実態を踏まえ、生活・労働・住宅・借金等の包括的な相談窓口を設置すること

3 生活分野については、少なからぬ村民が生活保護申請を行ったにもかかわらず、生活保護水準以下の状態に置かれ続けている。5日に直ちに開始決定すべきである。また、すみやかな居宅移行のためには迅速な敷金等一時金の支給が必要である。最低生活および居宅確保のため、自区内処理に走りがちな自治体任せにせず、厚生労働省がイニシアチブを発揮していただきたい。

4 労働分野については、少なからぬ村民がいわゆる「派遣切り」「期間工などの有期雇用切り」の被害者である実態を踏まえ、安定的な就労先を確保すべきである。なお、当面の生活保障のための就労安定資金貸付制度の利用に際しては「離職・住宅喪失証明書」や「入居予定証明書」が必要となるなど依然として要件が厳しく、安定就労に向けた支援が現実には得られない、という実態がある。この点を改善し、派遣切り被害者が再び同様の被害を受ける立場に追い込まれないようにすべきである。

5 住宅分野については、都内には利用できる雇用促進住宅がほとんど存在していない現実を踏まえ、公務員住宅や旧公団住宅をはじめ、安定的な居所の確保を行うべきである。また「派遣切り」によって空き室となった企業の寮を拠出させる、あるいは借り上げることも要請すべきである。なお、入居時の連帯保証人が存在していない村民への対策も必要となる。

6 そもそも今回の事態は、企業に安易な「派遣切り」などを許してしまう労働法制・労働者派遣法の制度上の不備にある。年度末にはさらに大規模の「派遣切り」が行われるとも言われている。同じ惨劇を繰り返さないため、今回の教訓に学び、早急に「労働者派遣法」の抜本的な改正などの労働法制の見直しを行うとともに、「派遣切り」「期間工切り」を認めない緊急特別立法および諸政策を実施すべきである。



2009年1月 3日(土) 20:48 JST


 つまり

「もう自分では彼等の面倒見切れなくなったから、政府の皆さん、飯出せ金出せ住処出せ生活保護寄越せそして全責任を負ってここに集まった全員引き取って!」

 という事で、政府、行政にその全てを押しつけて、自らはすたこらさっさと退散!

 これが彼の奇策の全容であり、彼の「派遣村」開設の真の目的と思われる。

 嗚呼、スバらしき『社会責任』!

 社会責任って、つまり無責任って事だったんだね♪





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コメント

トラックバックありがとうございました。

この手の人物の存在のせいで、本当に救われるべき方々が困らない様にしないといけませんねぇ…

今後ともよろしくお願いいたします。

>kosa4416氏

 こちらこそトラックバックありがとうございました。

 そうですねぇ。
 しかし「弱者を食い物にしている!」「人をモノ扱いしている!」と非難している人ほど、何故かもっと碌でもない事をしている場合があるっていうのは、一体どういう社会的メカニズムの産物なんでしょうか(笑)

 現在、私の中でトップレベルの謎の一つになっています。

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